インクジェットプリンタのレストアに挑戦。

綺麗な羊羹のようにも見えるが、そうでは無い。
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 もう10年以上前に使ってそのままにしていたため、インクノズルの詰まってしまったEPSONのインクジェット・プリンタのカラリオを修復してみようと思った。
型式はPM4000PXという。
私のインクジェット・プリンタの歴史は業界最初ではないかと思うCanonのバブルジェット型という奴で、300dpiで42万円もしたのに、そうそうにインクが詰まり、クリーニングを5度程したらインクが全部無くなった。その頃のインクは、一個5.000円もしたので、CMYK4個で、2万円もしたのだ。さすがにCANONにクレームを言って対処してもらったのだが、それがトラウマになって、インクジェット・プリンタに対して拒絶反応がある。
それで次はEPSONのPM3300と言うのも使っていたが、インク詰まりしたのと、このPM4000PXをある事情で頂いたので、PM3300は廃棄した。
先に書いたように、トラウマがあるもので「とりあえず使う」がほとんど研究する気がなかったのだが、今回「どうせ廃棄するなら、解剖してみてもいいかな?」というわけで
「インクジェット解体診書」を記してみよう。

【1.インクジェットのプリンタヘッドってどんななの?】
IMG_1231はずしてみたら、こんな風な平面の中の縦筋に小さな穴があって、そこからインクが噴き出すのね。なので、ノズルチェックの時の斜めのパターンはこの天地の中にある穴の状態を示しているわけだ。ノズルtest写真
こんな感じの出力で詰まってる所がプリントされないところ。このプリントヘッドという部分は基盤の中にあって必要な穴の部分を噴射しているのがわかるが、このウラ面のインク壺部分を使ってクリーニングする必要がありそうで、最初はプリンタに付けたままタンク側から注射器と溶液でやってみたがダメだったので、ついにヘッドを外してみた。
この辺りの構造が分かりにかったがネット上に同じ機種をやった人の情報があったので助かった。そして外して白い皿の上に置いて、熱湯を流したのが最初の写真である。

色々調べてみて、インクはどのような溶剤が良いのかと思ったが、熱も意味があるようだったので、ぬるま湯から熱湯へと試した。そしてタンク側のノズルから注射器で押し込んで出したのが下の写真である。
IMG_1114_2これで、掃除は出来たつもりであったが、元に戻してノズルチェックを繰り返したが、
やはり全てがキレイにはならなかった。その時の結果が2つ前の写真。
結構ムラがある。この後、また掃除などを繰り返して少しずつキレイになったが、
最後の掃除のあとについにインク切れの表示が出てしまった。

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【2.インクジェットの寿命の仕組み?】
上の写真のようにランプが付くとPC側でも「インクが無くなりました」といって、一切なにも出来なくなる。このプリンターは7色なので、他の色が残っていても何もできない。ネットで調べるとこの仕組みは、インクカートリッジに付いたIC基盤が、打ったドット数の数をカウントしていて出るという事だ。カートリッジ内には1/3程残っていても、安全策でそのようになっているとのことで、これがインクジェット・プリンタのビジネスモデルの根本なのである。インクを買ってくれば良いことなのだが、今回は10年以上前の機種でヘッドの掃除で復活するのかを調べたいだけである。
残った1/3だけでも充分なのだ。そこで、このカウントを無くす方法が無いのか調べたら、「ICチップ・リセッタ−」という物があるのを知った。
100均で売ってる補充インキを使うためにカートリッジのカウンターをゼロに戻すのだという。そのリセッタ−は以前は「100均」でも売っていたようなのだが、今は市販品を買うようにその100均サイトに書いてあった。(業界内の事情だろうな)
その100円で買えそうな物をネットで探すと1,000円近くするのだ。また、対応機種とか色々と不安も残る。
その為に、今度はEPSONのその辺りのインクの違いや、機種の違いを調べていくと、この機種「PM4000PX」という機種の中途半端な素性が解って来た。
EPSONのインクジェットのインクは染料系と顔料系があるのだが、その違いは機種の型番に「PMが付いた物が染料系」「PXが付いた物が顔料系」とのことで、この「PM4000PX」は、その狭間の機種で両方が付いているが、後ろのPX系でつまり顔料系だとわかった。そしてその際に、この機種の廃インクの処理部品に欠陥があったようで、そのサービスもすでに終わっていた。つまり、どちらにしても長くは使えないということなのである。

【3.ICチップとリセッタ−】
写真のように位置にICチップの接点がこのカートリッジの奥にある。
IMG_1451ここで何個のドットを打ったかをインクカートリッジ側に記録しているのだ。その記録をリセットして新品と思わせるのだ。下のプラスチックに7本のピンが出ているのが「ICチップ・リセッター」この製品は、「補充インクと一緒にセットになった物」がオークションで安売りしていたので落札した。(リセッタ−単体の商品よりも安かった)
IMG_1452このリセッターはUSBケーブルから電気を取るタイプ。この位置にインクカートリッジの接点を接触させること数秒、赤いランプが3度ほど点滅して緑に変われば完了だ。
IMG_1463さて、これで、準備完了。
しかし、1本目のマゼンタをクリアしたら、次々と他の色も表示されて、ついに全色をリセットして、ノズルテストをした。なんどもプリントエラーが出たので、いろいろ手を尽くしたが、もう完全にインクが出ないことを確認して今回の修復を諦めた。
まだ、現役の機種ならインクを買ってきたかもしれないが、何しろ1本1,000円近くするので、7本で7000円以上である。それで完璧で無いなら、新型機の費用にしたほうが良い。
以上のような経緯から、このようなビジネスモデルはどういうものかという印象とともに、やはり当分インクジェット・プリンタは使いそうもないと思うのであった。
IMG_1471結局、廃品処理業者への荷造りをして玄関に置いた。

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