1998.4.13
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特集:そろそろアナログの時代でしょう。

1:アナログな趣味をしませんか。

 私が中年になってしまったからか、それともデジタルにどっぷりつかっている反動なのか、私は本来「アナログ人間」である。
 もともと感覚的な性格だったから、デザインだとかの方向に来たのだと思う。しかし、どちらかと言うと不器用な方だったのではないかと思うのである。そのために合理的な方法や道具に興味を強く惹かれたようなのだ。それで出会ったのがMacintoshであった。つまり、私としてはやりたいこと、表現したいこと、見てみたいことがいっぱいあるのだが、それらは自分では仕上げる技術や時間が無い。また、人にやってもらうにしてもコストや時間がかかるし、何よりも自分の満足行くように仕上げてもらえないジレンマに耐えられないのだ。
 そのときにこのコンピュータが現れたわけだが、アナログ人間の私にとっては道具の一つにすぎなかった。たとえば現在、ソロバンを私はできないが使えるようになるためには、コンピュータを覚えるくらい面倒かもしれない。
 私がMacintoshを見たときに全然デジタルとは思わなかったから、使ったと言えるのである。なぜなら、Appleのジョブスが目指したものは、「アナログなコンピュータ」だったのである。今からほぼ10年前に私の会社でApple Japanの広告をつくったのだが、そのときに同僚の片桐氏が作ったMacintoshのスローガンが、そのコンセプトを表している。そのコピーは「複雑なのは中身だけ。」私はこのコピーが大好きだし、これがMacintoshなのである。つまり「複雑な操作方法のWindows」はMacが目指しているものの足下にも及ばないのである。デジタルは「アナログ」の縁の下にいるのである。
 このようなことから、アナログと言う言葉を私は重要だと思っているのだが、世の中は体制に流され、一人で声を上げてもなかなか聞いてくれない。そこで私は、デジタルを理解した人には解る「アナログの良さ」ということで「ネオ・アナログ」と言う言葉を作った。

●ネオ・アナログ時代宣言。

 アナログ信者と言うと古い人と言われるのを防ぐために作ったのだが、実際のところデジタル時代のアイデアやサービスとは、いかに人間本来のアナログな感覚(アナログとは相似的とか具象的と言う意味になる)にしてあげられるか、「複雑なことは縁の下で」してあげられるかにかかっていいるのである。
 だから、まず本来の人間の好みや感性や感動を知ることが大事なのである。そこでまずはアナログな趣味にもう一度目を向けることが重要なのである。

●上記のようなわけで、話はデジタルから遠ざかる。

 中年の趣味なのか、DIY、田舎暮らし、アウトドア、丸太小屋、ガーデニングなどが流行っている。どれもキーワードになることは屋外で、自分の手で何かをすることと言えないだろうか。
 なぜ流行り出したのかと考えてみると、モノやサービスに対して飽食感があるのではないだろうか。バブルの時代に何でも手に入り何でもやってくれた。お金さえあれば。しかし、バブルもはじけ、超不景気の今日、お金はないしやりたい事は多い。そこで自分でせざるをえないと言うことと同時に、いままで人にやっていてもらっていた事自体が楽しみにも思えてきたのではないだろうか。
 バブルの頃のグルメは食べに言って解ったような事を言って、語ってりゃ良かった。しかし、昨今のグルメは自分で作ること表現者であることも求められる。以前のグルメは批評家でしかなかったが、いまはクリエーションが求められるわけだ。考えて見ればバブルの頃は一億総批評家時代だった。バブル後も金融システムと行政と官僚はその風船の空気をしぼまらしてはいたが、破裂していなかった。そして近年それは砂上の楼閣だったことが現れてきた。

wacth.jpg写真
デジタル腕時計は主役にならなかった。なぜなら時はアナログだから。
 時代は経済問題、環境問題、そして人生計画までも、個人のサバイバル能力を問うようになった。サバイバルといっても生き残りのためではなくて、良いライフワークを過ごすためである。

●自分でやると言うこと。Do it.

 もともと、DIY(Do it yourself)は昔からあった言葉だが、バブルまでの日本人にとっては、貧乏くさい言葉であった気がする。しかし、現在国家的貧乏になってみるとそれは普通のことであるし、アメリカ人などにとっては当たり前のことだった。なぜなら、人にやってもらうと言うことが一番コストがかかることだったから。
 今やっと日本でもそのレベルになった。しかしその裏で、作る事の喜びを忘れていた気がする。我が子を作り育てる喜びと言うものがある。バブル時代ならある女優の言った言葉じゃないが、「赤ちゃんは卵で生みたい」どころか、成人した子供が欲しいと言うようなもんだ。
 一番おもしろいのはその前の部分なのだ。そのことに日本人も気づき始めたのかもしれない。たとえばこのInternetのホームページにしても、従来マスコミからの一方的な情報を見るだけだった事から、自分でメッセージを発信し、育てる喜びと言うモノではないだろうか。デジタルの最先端のように言われるが、私はアナログな人間の最先端の道具である確信する。だってページをめくるように絵と文字で見られるコンピュータの情報である。これはアナログ情報にほかならない。

doit.jpg写真
チェーンソーを持たせたら芸能界一という清水國明氏
(写真:ドゥーパより)

●様々なDo it。

 今回、アナログな趣味をしませんか。と言うタイトルで提案をしようと思うのだが趣旨を理解していただけただろうか。
 アナログな趣味と言っても昔からあるものはすべてアナログなのだからきりがない。そこで私の提案するものは私の個人的な興味の順になってしまう事は勘弁していただきたい。何せ、編集者が一人なもので情報の多いモノということなのでしかたないのである。
 そこでどのようなことに関心があるのかと言うと、DIY(Do it yourself)である。ただ、DIYイコール日曜大工と言うわけではなくて、「自分でやってみる」がテーマなのである。たとえば、普段自分で使う食器の陶器を自分で作ってみたいだとか、壊れた扇風機を修理してみたいとか、そんなことを含めたDo it.なのである。

2. 中年の趣味?DIY、ガーデニング、フリーマーケットへ


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