No.6

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650cc、2気筒、XS1。
 ERTに書いたバイクのレストアをしている友人がYAMAHAのXS1が完成したと言うので見に行った。下の写真がそれだが、見れば昔のバイクはまさに鉄馬と呼べるものだと思う。また、このバイクは650ccもあるのにとてもスリムで小さい感じがする。1960年代、日本のバイクの排気量は主流が250ccで450ccのホンダドリームが大型車だった。その後、ホンダがナナハンと呼ばれ一世風靡した4気筒マルチのCB750によってあたらしい時代を切り開くことになった。
 それまで2サイクル専門メーカーだったYAMAHAはナナハンに対抗する為に4サイクル大型車を開発するのだが、商品企画的にホンダとの差別化のために正統派イメージのイギリス車のトライアンフやノートンを意識した2気筒を選んだ。それも超正統派の直立エンジンでクラシックの部類に入るほどのオーソドックスさだ。排気量もトライアンフや日本のメグロ(後のカワサキ)のW1と同じ2気筒650ccであった。
 
YAMAHA XS1
 YAMAHAにとっては新しく始める4サイクルであり、慎重な道を選んだのかもしれない。また、この当時はエンジンの性能だけで無くエンジンそのモノがバイクのデザインでもあり、他車との差別化や魅力ということも必要だったのは確かだった。YAMAHAはこの後750ccを投入するときもTX750で2気筒で勝負している。その後のDOHC500ccの時も2気筒であり、マルチのホンダに対する意地だったのかもしれない。
 今、思い出してもあの当時のバイク開発は、デザインとともにエンジンを開発しなければならない大変な時代だっただろうと思う。その後のエンジンは共通でカウリングのデザインや塗装だけで新車を投入するようになった時、バイクブームは終わったのかもしれない。そして今、その時代のバイクが若者の中でも静かなブームになり、また当時に変えなかった現在の中年も目を輝かせているのだ。
 
 とりあえずタンク周りのアップだがエンジンのアルミの汚れなどはキレイに無くなりメッキもぴかぴかのこの質感はこの時代のバイクでしか味わえない。たとえばタンクのエンブレムだけでもまともなモノを手に入れるのは至難の業なのだ。また、この頃のバイクのカラーリングはステッカーを表面に貼るのではなく、塗装なのでそれほど複雑なカラーリングがなく、そのために好みは色味で決められた。このグリーンもバイクには珍しい色でマニアはこれを好んでいる。特にこの初代XS1の特長はこのグリーンとフロントの大型ドラムブレーキといえる。また、このバイクはセルもついていない。キックスタートする姿もマニアにとっては憧れなのだ。今回、その音は昔の少し違って聞こえた、もう少しエンジン調整をすると昔のサウンドになるだろうと言うことだった。そうなのだ、マニアのもう一つのポイントはサウンドもあるのだ。
 私もこのスリムでYAMAHA SRのような650cc。街中で250ccのように乗れそうで魅力を感じている。しかし私は合理的実用派なので、この次のモデルでフロント、ディスクブレーキ、セル付きの方が欲しい。
 私がアンチ主流派と言うこともあって、多くの人やマニアが好むものに興味を持たないと言うこともあるのだが。まあ、70年代と80年代バイクの世間で話題にしないものをこのMLTでは紹介しようと思っているが・・・。これをマイノリティ・バイクという。(少数派バイク)
 でも、「マイ・乗りてェ・バイク」とも言うのだ。
それでは、次回まで。
 Editor in chief : Acchio F. Magonotti   Copyright : MAGO-NET 2003