1998.4.30

 
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第2回 デジタルカメラ(フォト)の仕組み

 fukuda'sの特集として「アナログ写真」と「デジタル写真」を同時に語ることにした。アナログ(銀塩写真)については「アナログ(銀塩写真)の仕組み」を読んでもらいたい。
 そこでこちらの「デジタル・カメラの選び方」では「アナログ(銀塩写真)の仕組み」と題して説明する。向こうにも書いたが「デジタル」は「すごい」のではなく「便利」であると言うことなのだ。
 そこで、こちらの「デジタル写真の仕組み」では、銀塩写真よりも画像情報的には劣るデジタル写真はどこが「便利」になったかについて論じる。「すごい」と思っている人は、「デジタルカメラ」に大きな期待や過信をしてはいけないことを先に言っておく。すごいのは「便利」なことなのである。
その1:デジタルカメラのメカニズムとサイズ

 それは「アナログ銀塩フィルム」では「粒子」読んでいるがデジタル写真では「解像度」であるということだ。 デジタルの場合「デジタルデータ上の1ピクセル(画素)の四角い画像の単位がその役をする。四角いタイルを貼ったのようなモザイク画である。これは、人の目に補完能力を出させず、ギザギザの図形を感じさせてしまう。
 それは画像表現としてはマイナスな要素である。それを目立たなくするためにはより小さなピクセル(画素)にする必要がある。つまり、細かく再現するためにより多くのピクセル(画素)が必要なのだ。
 そこでデジタル・カメラでは「総画素数」と言う表現で性能を現している。30万画素とか140万画素と言う奴である。しかし、この「万」画素がくせ者なのである。大半の人は「万」は多い、「十万」はもっと多い、「百万」は限り無く多いと思うのであるが、実際にはデジタルの世界ではまだまだ少ない「数値」なのだ。
 たとえば、つい最近までたくさん出ていたデジタルカメラの主流は、「30万画素」のものでした。この画素数は縦480 X 横640ピクセルの計算をすれば出てくる数字である。つまり縦480 X 横640のタイルを使ったモザイク画とおなじである。ちょっとしたビルの壁面にありそうな数字なのである。この縦横のピクセル数の数によって性能が比較されるので、下記に表を作ってみた。

デジタル画像のサイズ
画素数
横縦ピクセル数
画面サイズ
参考/ 対象カメラ
価格帯
総数
モニター画面

8万
240
320
PowerZaurus

初期のカシオQV10

5万円
35万
640
480
13インチ

VGA / SONY DSC-F3

6.8万円
50万
832
624
17インチ

XGA / PowerShot600

11.8.円
80万
1024
768
20インチ

New! PowerShotA5

7.5万円
100万
1152
870
21インチ

Kodak DC210ZOOM

8.1万円
130万
1280
1024
26インチ

Camedia 1400CL
フジ FinePix

15万円
200万
1600
1200
33インチ

キヤノン EOS D2000

198万円
300万
2000
1500
40インチ

600万
3000
2000
60インチ

キャノンEOS DCS1

350万
1000万
4000
2500
80インチ

A4スキャン300dpi以上

 上の表を見てもらうとわかるのだが、縦横のピクセル数とはモニターの基本表示性能の表示ピクセル数に置き換えると「画面サイズ」の項の数字になる。つまり、現在話題になっているメガピクセル(百万ピクセル以上)機のカメラでさえ所詮21インチ位の画面ショットのデータと同じなのである。
A4スキャナーでのスキャン画素数

長辺

短辺

mm
297
×
210

インチ
約11.7
×
約8.3

(インチは25.4mm)

解像度
長辺 pixel数

短辺 pixel数

pixel合計数
画素
72dpi
824
×
588
=

480,392

50万画素

100dpi
1170
×
830
=

971,100

100万画素

200dpi
2340
×
1660
=

3,884,400

400万画素

300dpi
3510
×
2490
=

8,739,900

900万画素

350dpi
4095
×
2905
=

11,895,975

1200万画素

 この表を見ていくとメガピクセル機でもフラットベッドのスキャナーには全然及ばないことが解る。たとえば、フラットベッドスキャナーでスキャンしたとして、A4サイズを72dpiでその画素数は約50万画素、A4サイズを300dpiでスキャンすれば、600万以上になる。だから、もしも細かいデータが欲しいのなら、アナログ写真をスキャナーでスキャンした方が良いことがわかる。


その2:印刷物に使える大きさ

 デザイン関係で印刷物に使うには300dpi以上の画像解像度が必要なので上記の表をもとに印刷物に使えるサイズを計算してみた表が下記である。

デジタル画像の使用サイズ
(ピクセル数)
(HPなどで使えるサイズ)
(印刷物に使えるサイズ)
画素数
横縦ピクセル数
72dpiの画面
300dpi印刷用
モノのサイズ
総数
横X縦(mm)
横X縦(mm)
印刷物
8万
240
320
113 x 85
27 x 20
切手
30万
640
480
226 x 169
54 x 41
証明写真
50万
832
624
294 x 220
70 x 53
名刺サイズ
80万
1024
768
361 x 271
87 x 65
名刺サイズ
100万
1152
870
406 x 307
98 x 74
Eサイズ
130万
1280
1024
452 x 361
108 x 87
Eサイズ
200万
1600
1200
564 x 423
135 x 102
葉書サイズ
300万
2000
1500
711 x 528
182 x 128
B6 単行本
600万
3000
2000
1821 x 711
257 x 182
B5 週刊誌
1000万
4000
2500
1412 x 881
297 x 210
A4 カタログ

 これを見ると解るように、プロカメラマンが仕事に使えるような、カメラは無いことがわかる。ただし、ラフスケッチやカンプ用の画像ならば100dpiもあれば充分なので、ほぼ2倍〜2.5倍の大きさに使えるということである。


その3:それではどこが「便利」なのか

 印刷物に使うことを重大に考えなければ、またホームページのコンテンツやマルチメディアの表現に使うのであれば充分な性能であり、「便利」に使える。

<デジタルカメラの「便利」なところは>

1.撮ってすぐ使えること(現像がいらない)
2.すぐ撮り直しがきくこと(フィルムがいらない)
3.すぐコンピュータに取り込めること(スキャナーがいらない)
4.フィルムのように消費物がないので、コストを気にしないで写せること
5.露出が無造作にできること(ビデオ感覚)

一言で言えば「お手軽」なことである。しかし、クォリティにこだわる人ならこのデジタル・カメラの中で性能の違いを知りたいはずだ。
そこでいよいよ<デジタルカメラの比較と選び方>を考えてみよう。

<第3回 デジタル・カメラの比較と選び方>へ


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