1998.6.26
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第7話 いよいよ、A5ミニ・ノート比較。

 つい先日、パナソニックのLet's note miniの新型(名前がLet's note mini/M32と変わりました。Mは標準メモリー搭載量のことのようだ。)が登場し、スペックが三菱Amityと同等になった。
 また、以前からマニアの間で話題になっていたA5ミニ・ノートパソコンで俗称「チャンドラ」と言われるマシンがある。(この機種は話題が豊富なのでいずれ別の記事として解説します。)これは「いわく」のあるマシンでいろいろな販売会社からOEM製品が出ているのだが、つい先日メジャーブランドの日立フローラ版の最新型が出たので、それを同時に比較する事にした。
 この機種は日立フローラシリーズのA5版として位置づけられていて、正式名称はFLORA Prius note 210と言う。日立としてはA5版を独自開発をせずにこの機種をモデファイしてラインナップしているわけだ。だから他社のOEM「チャンドラ」製品とほとんど同じ内容とデザインだが、筐体の細部や処理などをオリジナルにしてある。性能的にみると他の「チャンドラ」と同じと考えてかまわない。しかし大会社ブランドなので、他の中小の販売会社のOEM製品より安心感がある。

絶妙な差!A5ミニ・ノートの比較。

 下記の機種以外の富士通のビブロはトラックポイントの位置が使いにくいのとCPUが遅く、IBMのThink Padは重くでかいので総合的に見てこの3台が候補になった。土壇場でLet's note miniの新型が登場し他機種に性能を合わせてきた。

A5ミニ・ノートPC装備と重量比較表
メーカー
Panasonic
三菱
日立

製品

Let's note mini / M32

AMiTY CN model 2

FLORA Prius note 210

CPU

MMX Pentium 166MHz

MMX Pentium 166MHz

MMX Pentium 166MHz

メモリ

標準32MB/最大96MB

標準32MB/最大96MB

標準32MB/最大96MB

ビデオチップ/メモリー

VRAM(2MB)

VRAM(2MB)

VRAM(2MB)

HDD

2.1GB

2.1GB

2.1GB

ポインティングデバイス

16mmトラックボール

TrackPoint III

独自トラックポイント

モデム

無し

無し

無し

PCカード

Type2×2
(下段のみCardBus/ZVポート対応)

Type2×2
(下段のみCardBus/ZVポート対応)

Type2×3
(下段のみCardBus/ZVポート対応)

液晶

8.4インチTFT
最大解像度800×600

8.4インチTFT
DFActive
最大解像度800×600

9.2インチTFT
最大解像度800×600

バッテリ駆動時間
( )内は大容量使用時

約2.5時間
(約8時間)
大容量バッテリ使用時

約1.8時間
(約7.8時間)
大容量バッテリ合せ使用時

約2時間
バッテリパック2本使用時

外形寸法
(幅×奥行き×高さ)

225 x 172 x 36.0

235×170×35mm

235×173×34mm

重量

1.0kg(1.3kg)

1.1kg(1.8kg)

1.25kg

写真

実勢価格

\???,000
\228,000
\218,000

プレインストール ソフト

Word、Ecxel、Outlook
Word、Ecxel、Outlook
無し

キーピッチ/ストローク

15mm/1.5mm
16mm/2mm

15.1mm/1.5mm

 上記の表の中の赤字は他より秀でた部分であり、
緑字の部分は他に劣っているか、または問題点である。

 このように一覧にして見てみると性能はほとんど同じであり、液晶モニターのサイズと方式(DFActive)やポインティング方式の違いは好みの問題である。あとはサイズの違いであるが、これも約1cmの差である。
 重量は本体重量だけでは決められないところがある。たとえばAMiTYPriusはともに外部ポートが内蔵されているがLet's note miniは拡張用I/Oボックスの200gを加えると1.2kgになる。すると約150gの攻防になるわけだ。まあ、外出時にはポートを使わないと徹すれば良いのだが、出先でのプレゼンテーション用ディスプレイポートなどは使いたい機能だ。ここが他の2台との大きな違いである。私はこの部分は本体内蔵型を選んだ。なぜなら、出張先などでさまざまなことに対処するためには外部ポートがある方が安心である。すると別部品の煩雑さと150g程度の重さなら簡単な方が良い。
 AMiTYのキーボードはピッチも大きく、キーストロークも良い。Priusのキータッチはサイズ的にLet's note miniに近いが感触は悪くない。しかしLet's note miniの前の機種だが店頭でキータッチを試したところキーボード全体がペナペナと動いてしまい感触が良くないのである。この件は新型でどうなっているか調べた方がいいのだが、外部ポートの件で選択肢からはずした。
 すると残りは2機種であり、大きな違いは液晶画面である。見た印象はとても鮮明なAMiTYがいいのだが、Priusはこのクラス最高の大きさの9.2インチの大画面だ。いずれ他社もこのサイズになる可能性はある。現時点では一長一短である。それでは他の件で比較してみよう。


バッテリーと重さの比較。

 バッテリーの駆動時間でみると、最小バッテリーではAMiTYは1.8時間(108分)、Priusは2時間(120分)でその差は12分である。どちらにしても実質の使用時間は1時間強であろう。AMiTYの大容量バッテリーは、馬鹿でかくて買う気になれない。以前のAMiTYでは標準バッテリーの交換ができなかったのだが、この機種からは交換ができるのでAMiTY選ぶ人には小型の標準バッテリーを二つ持つことをおすすめする。なぜなら2つあれば2時間以上は使えるのである。ただし、他のマシンでも同じなのだが予備バッテリーを充電するためには本体に取り付けなければならないことが問題である。
 最後に「チャンドラ」こと日立のPrius noteであるが、実はこのマシンに使用しているバッテリーはビデオカメラに使用しているものと同じなのだ。使えるバッテリーは松下やSONYからも出ているのだ。(性能は松下製の方が良いとのこと)つまり、汎用リチウムバッテリーなので、どこでも簡単に手に入ると言うことであり、また価格が安く手に入るメリットがるのだ。そして先ほどの予備バッテリー用の充電機も安価で手に入れる事ができるのである。
 するとこのPrius noteが俄然浮かびあがってきたのだが、気になる点が無いわけではない。本体の重量がAMiTYより150g重い事、それとキーボードの手前にパームレストが無いことである。しかし、このA5サイズのミニ・ノートを店頭で試した所、どれも小さくてパームレストのありがたみはさほど感じられなかったのである。だから、重さ以外は気になることが無いのである。



チャンドラマシンの実力。

 それではPrius note独自のメリットは何かと言うと、まず始めにPCカードスロットが3機ある事だ。こんなに使うのかとも思うかも知れないが、CD-Romドライブやモデムなど結構同時に使う物はあるものだ。多くて困ることはない。逆に現在流行のB5薄型軽量サブ・ノートはPCカードスロットが1機の物ばかりである。次にそのPCカードスロット類は本体左側面にあり、右側面には普段使う可能性の高い、マウス・キーボード用のPS/2ポートとプレゼンや大画面を利用するためのディスプレイポート、そしてシリアルポートと赤外線通信用IrDAポートがレイアウトされている。背面には電源ポートとパラレルポートがついているが、付属のFDDを使う時とプリンタを使う時くらいである。つまり通常の使用状況がよく考えられているのである。
 上記のようなことを比較してきて、ほぼ違いがわかって来たのだが、最後に決定的な性能が重要であることが解った。それは作業を一時的に休む事、サスペンド機能(Macで言うところのスリープ機能)と、そこからの立ち上げリジューム機能の時間である。電車の中などで使用していた場合に駅に着く時にサスペンド(一時休止)をする、そして乗り換えた電車で続きをする時にすぐ立ち上がるかどうか。またスケジュール表やアドレス帳などすぐに見たい機能を使うためにもレジューム機能は特に気になる。

 この実験を日経モバイルの6月号でしていて、その結果は下記の表のようであった。

サスペンド&レジューム時間 比較表
製品名
サスペンド
(スリープまでの時間)
レジューム
(立ち上がりまでの時間)

AMiTY CN model2

3.56
13.00

Prius note 210
(チャンドラ)

1.66
5.91

 これを見ると一目瞭然である。候補の2台で、特にレジューム時間は半分以下である。実際に店頭で試してみると「すぐに立ち上がるPrius」と「いつ立ち上がるのAMiTY」と言うくらい違うのである。AMiTYの方は遅さについ再起動ボタンを押してしまいそうだ。

 以上の様な結果から私のお薦めできるA5ミニ・ノートはPrius note 210(または他社のチャンドラ)と決定した。

 とりあえず、究極のPDA&モバイルPC探しの旅は、ここにたどりついたことになる。今後は、このマシンをもとに究極のノートパソコンを構築していく話に展開していく。


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新刊 fukuda's MOOK
「究極のノートパソコンへの旅」へ続く


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